『玉藻前曦袂』
今日は、飛出揮毫處(ぽっぷあっぷすぺえす)の日でございました。
毎月、第二・第四の日曜日に祇園京烏さんで行っている、作品の
展示・販売と実演の催しでございます。10時~17時の間なら私が
常に在廊しておりますので、どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
さて今回は、『玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)』を
書かせて頂きました。
“義理恩愛の柵に邪見の 意反正す刃にかけしいとし嬢が
消え往く露に濡るる袖しぼりかねたる”
玉藻前曦袂 道春館の場
『玉藻前曦袂』・・・
近松梅枝軒(ばいしけん)・佐川藤太郎合作。
全五段の時代物(義太夫狂言)。
通称「玉藻前」「玉三(たまさん)」。三国妖狐伝説の脚色であるが、
そのうち、三段目の道春館のみが演じられる。鷲塚金藤次は薄雲皇子の
命を受けて、道春の館へ獅子王の剣受取の使者にくる。ところが、
その剣が失われているので、道春の二人の娘、桂姫と初花姫に双六を
やらせ、負けた者の首を剣の代わりに持ち帰るという。
姉の桂姫が双六に勝ったが、金藤次はわざと桂姫を討つ。
そして、この桂姫こそ、かつて金藤次が捨てた子である事を告白する。
「御所桜堀川夜討」の「弁慶上使」の場と同じ趣向である。
母親が実子と育ての子に示す愛情と、悪人の金藤次がわが子を犠牲にして、
善心にもどる手法が見どころである。
文化三年(1806)三月、大阪御霊境内芝居初演。
出典:歌舞伎事典(実業之日本社)
本日は以上、戯筆でございました。
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